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仕事

一人で起業 固定費削減の重要性 【弱者なりに大きなライバルと戦う】

起業するのに、高い能力や専門性、誰も思いつかないような画期的なアイディアが必要なのかと聞かれると、その限りではないんじゃね?と思っています。

もちろん、世間やメディアを賑わすような起業家の人たちは圧倒的な能力やアイディアを持っていて、瞬く間に会社や事業を成長させる人はいます。

*第三者から見えていないだけで、そんな人たちは並々ならぬ努力や犠牲を払っていることも間違い無いですが。

では、圧倒的強者だけが起業という選択肢を取れるかというと、そんなわけでもないです。

会社や事業を大きくはできないかもしれませんが、弱者は弱者なりの戦い方で起業する方法はあるんじゃないかと考えています。

その鍵を握るのが固定費です。

固定費を圧縮することで一人起業の小規模会社が大きなライバルと戦える可能性があります。

驥は一日にして千里なるも、駑馬も十駕すれば之に及ぶ的なのが今回のテーマです。

雇用を生み出して社会に貢献するでもなく、世間から見れば大した成果でもなく、大きなことを言えるわけではないのですが、一度きりの人生だしチャレンジしてみようと思った時のことをまとめています。

損益分岐点で見る固定費削減の重要性

損益分岐点で見る固定費削減の重要性

固定費の重要性を考える時に損益分岐点という指標は参考になります。

損益分岐点とは

損益分岐点(Break Even Point: BEP)とは「全ての費用 ― 売上高 = 0となる時の売上高」のことです。

損益分岐点を超える売上高になると利益が発生し、下回ると損失が発生します。

損益分岐点を算出する計算方法は下記のようになっています。

損益分岐点 = 固定費 / {1 ― (変動費 / 売上高)}

具体例で説明していきます。

商品Aを下記の条件で販売するとします。

原価600円/個
販売価格1,000円/個

商品Aを1個売れば400円、2個売れば800円、10個売れば4,000円の粗利が発生します。

会社を運営するには商品購入の費用だけでなく、家賃は自分の給料などが発生します。仮に下記明細で月に合計800,000円だとします。

家賃200,000円/月
設備リース代100,000円/月
役員報酬500,000円/月

よって、毎月1個あたり400円の粗利を積み重ねて800,000円の費用も賄う必要があります。

何個販売すると粗利が800,000円になるかは下記計算で分かります。

800,000円 / 400円 = 2,000個

毎月2,000個の販売をするということは、原価の総額は600円 x 2,000個 = 1,200,000円/月、売上高は1,000円 x 2,000個 = 2,000,000円/月となり、毎月2,000,000円の売上高があると会社の損益がちょうど0になることが分かります。

つまり、損益分岐点は2,000,000円ということが分かります。

ここで、変動費と固定費について簡単に説明します。

変動費:売上高の変動によって上下する費用

固定費:売上高に関わらず一定額が発生する費用

上記の例でいくと原価は変動費になります。

販売量(売上高)が増えると、その分商品Aを仕入れなければいけないので原価が増えていきます。

一方、その他の費用に挙げた項目は売上があろうがなかろうが毎月発生し続けるので固定費になります。

したがって、変動費は1,200,000円、固定費は800,000円になります。

上記を表にまとめると下図のようになります。

損益分岐点の例

以上を踏まえて、先ほどの損益分岐点の計算式に当てはめると次のようになります。

損益分岐点 = 固定費 / {1 ― (変動費 / 売上高)}

損益分岐点 = 800,000円 / {1 ― (1,200,000円 / 2,000,000円)} = 2,000,000円

損益分岐点が低いほど利益が出しやすい

一般的に損益分岐点が低いほど利益を出しやすいと言われています。

損益がちょうと0になるまでの売上高のハードルが下がるのでイメージしやすいと思います。

では、どうすると損益分岐点を下げられるかですが、大きく分けると次の3つの方法があります。

  • 変動費を下げる
  • 販売価格を上げる
  • 固定費を下げる

何かの費用を下げる、販売価格を上げれば単位あたりの利益が増えるわけなので、損益分岐点を下げることができます。

しかし、一人で起業した会社の場合は費用の項目や販売価格を押し上げるのは並大抵の労力でなかったりします。

変動費を下げる

手っ取り早く変動費を下げるのであれば、原価を下げることが思いつきます。

言葉にすると簡単ですが、実際に原価を下げるには難しい問題が色々とあります。

まず、世の中の大抵のものには市場価格が存在します。他社が1,000円で買っているものを半分の500円で買えることはまずありえないですし、900円で買おうとしても無条件でというわけにはいきません。

大抵は購買量に応じた値下げ交渉になります。

そして、たくさん買うということは先に多くの元手が必要だったり、買った分を全て売り捌くには販売人員が必要だったりします。

一人で起業することを前提とすると、なかなか難しい条件だと思います。

関連記事:一人で起業 事業のアイディア何かない?捻り出すにはふんばりが必要

販売価格を上げる

販売価格も仕入価格同様に市場価格が存在します。

単に価格を上げるだけだと競合他社との戦いに負けてしまう可能性大です。

市場価格よりも高く売るにはなにかしか付加価値が必要になりますが、付加価値を創造することは簡単なことではありません。

というか、簡単に作れる付加価値は、当然簡単にマネされるので付加価値でなくなってしまいます。

もっと言うと、一人で起業した場合、市場価格並みで販売したとしても競合他社に負けることがよくあります。

得意先や消費者の気持ちを考えれば分かるのですが、同品質で同価格なのであれば会社の信用度が高い方を選ぶケースの方がずっと多いです。

確かに小規模な会社やフリーランスの人で圧倒的な売上や利益を生み出している人はいますが、そういう人たちは一握りの人たちです。

滅多に現れないすごい人たちだからスポットライトを浴びるわけで、一般化するには無理があります。

現実は一人で起業する場合は価格競争に巻き込まれるケースの方が多いです。

固定費を下げる

一人で起業した強みというか、一人会社だからこそ競合他社よりも下げやすいのが固定費です。

  • 家賃
  • 人件費
  • 機械設備費(リース代なども)
  • 広告宣伝費
  • 減価償却費

業種にもよりますが、一般的な固定費は上記のようなものになります。

どんな会社でも自社努力によって固定費の削減は可能ですが、一人で起業した会社ほど簡単に固定費を減らせる会社もないと思います。

一人で起業した場合は全て自己責任で物事を進められます。

労働環境や自分の給料、設備を節約して自分で工夫するなど、極端に言えば如何様にも節約することができます。

従業員を雇用している会社は違います。

従業員の人たちが納得して働ける環境や給与体系を作らなければ、いずれは従業員が去っていき仕事が回らなくなってしまいます。

家賃が安いからといって通勤が楽ではない場所に事務所を借りても人は集まりませんし、通勤しやすい場所だと家賃は高くなる傾向があります。

給与も業種ごとにある程度水準があり、水準以下で募集しても応募する人はいません。これ以上は削れないという人件費のラインがあります。

設備が旧式だと効率が上がりません。自分一人で作業をするのであれば労働時間関係なく働けばいいですが、従業員にそんなことはさせられません。

ある程度の設備にするか、旧式のままで生産量を落とすかの選択肢になります。

自分一人だけのことを考えればいいわけではないので固定費の圧縮には限界があります。

こんな感じで、一人で起業することの大きな強みとして固定費を最大限圧縮できるということが考えられます。

固定費を圧縮して他社と戦う

固定費を圧縮して他社と戦う

前述した通り一人で起業すると、強い付加価値を創造できなければ市場価格を下回ったところで戦うことを強いられやすいです。

強烈な付加価値やアイディアを生み出して、市場価格よりも高く売れれば一番いいのかもしれませんが、そう簡単にはいきません。

弱者の戦い方として、強引ですが販売単価が付加価値であると考える方法があります。

むしろ販売単価を市場価格よりも大きく落として、同品質の商品を安く提供することを付加価値とします。

もちろん、単に安売りしてしまっては採算が合わなくなります。

原価を下げることも一人会社に難しい話です。

なので、固定費を強烈に圧縮します。

先ほどの損益分岐点のところで使った表を再掲します。

固定費を圧縮して他社と戦う1

上図では、商品を販売するのに事務所を200,000円で借り、役員報酬を500,000円に設定していました。

この時、販売価格1,000円で2,000個販売すると、ちょうど損益0になりました。

条件を変えてみると、どうなるかを下図で見てみます。

固定費を圧縮して他社と戦う2

今回の表では、実事務所は借りずバーチャルオフィスを5,000円で借り、20,000円の費用を使ってネット販売を主戦場とし、役員報酬を300,000円に設定しました。

すると、販売単価815円で2,000個販売すると、5,000円の利益が会社に残るようになりました。

そして、固定費を削減することで市場価格1,000円の商品を815円で売ることができます。

185円/個の値下げで、値下げ率は約20% オフという付加価値を作ることができました。

競合他社が、購買力がある程度ある大きいところだとしても原価をいきなり20%安くはできませんし、一人会社のように固定費の削減を急激に行うことはできません。

商売の基本は安く仕入れて高く売ることですし、自分に対して我慢や無理を強いることを前提とした安売りなので、自慢できるような話ではないです。

でも、弱者でも戦うチャンスがあることはイメージできたと思います。

事務所ありとネットショップで性質が違うものどうしを比較するとか、単純化されすぎている表になっているとか、ツッコミどころがあると思いますが、「固定費を削減すると値付けに幅を持たせることができる」がテーマなので、ご勘弁を、、、

ちなみに、固定費を圧縮するならバーチャルオフィスすら借りなくてもよくね?と思われるかもですが、そうなると自宅住所を晒すことになるので安全面を考えると別の住所を準備した方が良いかなと思います。

調べようと思えば、代表取締役の住所は調べられるので完璧ではないですが、、、

関連記事:一人で起業 会社登記の住所をどうする?バーチャルオフィスって手があるよ

一人で起業しやすく固定費を削減しやすい業種

一人で起業しやすく固定費を削減しやすい業種

業種によって固定費の下げやすさが違います。

飲食店や人材派遣業など実店舗や事務所を持つ業種だと家賃や設備などの固定費が避けられない傾向にあります。

関連記事:一人で起業 会社登記・本店所在地の住所の基本情報

一般的に固定費を下げやすいとされる業種は、おすすめの副業としても挙がることが多いのが特徴です。

固定費を削減しやすいということは、元手がなくともOKですし、最悪失敗しても損失を最小限にできるので始めやすいからです。

起業するという観点でいくと他者のプラットフォームに全力で乗っかるタイプの業種はリスクがあります。サービス終了となった地点で売上激減になる可能性があるからです。

一人起業向きな業種の例として次のようなものがあります。

  • いわゆるIT系と呼ばれる職種
  • コンサルタント
  • ネットショップ

いわゆるIT系と呼ばれる職種

実際に少人数での起業やフリーランスが多い業種です。

その理由として、固定費だけでなく変動費も圧倒的に下げられることが考えられます。

仕入商品を販売するわけではなく、自分の知識や技術から価値を生み出します。

パソコンとネット環境があれば問題なく、大掛かりな設備や事務所は不要です。

難しい点は、住んでいる国や地域は関係なく日本だけでなく世界中にライバルが存在し、実績や能力が化け物みたいな人がたくさんいることです。

また、技術の進化や情報のアップデートが他業界と比較してかなり早いです。日々の勉強が必要になります。

コンサルタント

IT系と同じく固定費と変動費の両方を強烈に削減できます。

商売道具は自分自身みたいなものなので、身軽に動けるので場所にとらわれず顧客獲得ができます。

コンサルタントとしての実績が評価されると、それが付加価値になり高単価な仕事に繋げることができるのも特徴です。

難しい点は、良くも悪くも実績と能力の評価が非常に大事なことです。

実績がない人にコンサルティングを依頼する人は少ないので客観的に自分の実績や能力を示すことが必要になります。

分かりやすい成果物を見せにくいので、これまでの経歴などで権威性を示すことも必要になります。

特に起業したての初期段階では仕事を獲得する難しさがあります。

ネットショップ

ネットショップで商品の販売を行うので、上述した業種と比較すると変動費は抑えにくいですが、実店舗を持つ必要がないので固定費を削減しやすい業種です。

難しい点は商材によっては在庫を抱える必要があることです。

在庫を抱えることは、「先にそれなりの支出が発生する」「流行によって売れない商品がでてくる」などのリスクを持つことになります。

常にアンテナを張り売れる商材は何かを見極める能力が必要です。

また、比較的容易で安価に始める方法は、有名なネットショップのプラットフォームに出店することですが、サービスのルール改訂など外的要因に影響されやすいことは考慮していた方がいいです。

関連記事:一人で起業 仕事用のメールアドレスは独自ドメイン or フリーメール?

一人で起業した時に固定費を削減するコツ

一人で起業した時に固定費を削減するコツ

固定費を削減するコツは、「多少の不便を我慢できる」「身の丈にあったものを選ぶ」クセを付けることです。

外注の使いやすいアプリや設備でなくても、自作や工夫で済ますことができる作業はたくさんあります。

ピカピカの事務所が売上を作ってくれるわけではないです。一人会社で事務所がなければできない作業なんてそうありません。(業種によりますが。)

安易に便利さや外面を考えず、売上や利益に直結しないものは自分自身の工夫でカバーし、固定費を削減していきます。

また、会社の固定費を考えるだけでなく自分自身の固定費に無駄がないかも考えます。

立派な家やマンションに住みたいとか、高級車に乗りたいとか、そこまでのものを求めていなかったとしても、しっかりと会社が軌道に乗るまでは自分の生活レベルを上げないことは意識しましょう。

自分の生活レベルを上げてしまうと、一人会社で一番削減しやすい自分の役員報酬が削れなくなってしまいます。

起業したのは自分で選んだ道だと自分に言い聞かせ、自分自身に我慢を強いるクセを付けていた方がいいと思います。

起業すると収入に対する不安は付きまといます。

でも、私生活の固定費を見直すことで多少の逆境には耐えられるようになりますし、結果的に会社の耐久力も上がります

関連記事:逆境に強い、立ち向かう必要はあるのか?向かい風バッチ来―い!!

まとめ

強い付加価値やアイディアという強みがなくても弱者なりの強みを活かした戦い方はあります。

一人で起業した時の強みの一つは全てを自分の責任で決められることです。

競合他社には難しい強烈な固定費削減をすると、特別なアイディアがなくても「安い」という付加価値を付けられます。

正直、誇れるような戦い方ではないですし、自分を犠牲にしている部分がかなりあります。

でも、事業の取っ掛かりを作って将来の成長に繋げる気持ちで臨むのなら一つの手段にはなるんじゃないかと思います。

以上、最後までありがとうございます。

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