悪いことしてるわけでもないのに何かドキドキする入国審査や税関。
海外渡航の一発目の軽く緊張するイベントです。
自国の治安を守ろうと審査官の厳ついオーラがダダ漏れの中、審査は己の力だけで乗り切らねばなりません。
一つのミスが、別室でGoとかに繋がらないかとヒヤヒヤするのもやむを得ないといったところでしょうか。
ということで、今回の内容は以下のとおりです。
- 入国審査や税関の流れが知りたい
- 英語が話せないけど必要なフレーズを知りたい
- 入国審査が不安だけど大丈夫?
実際のところは、審査官は英語や現地語が流暢ではない人とも日常的に接するので慣れています。
上手く話せないからと、いきなり別室でGoとかにはなりません。
正確に簡潔に必要なことだけ話すことができれば問題ないです。
なお、国ごとに入国審査の書類は違いますし、持ち込みが禁止されている物や数量の上限なども違います。
出発前にご自身で確認をお願いいたします。
海外出張の準備から滞在中まで、押さえておきたいポイントを下記にまとめています。海外出張が不慣れだという人のお役に立てれば幸いです。
入国審査や税関が厳しい
入国審査・税関職員は厳ついイメージです。(個人の感想です)
淡々と無表情で質問を繰り返されると「ミスったら連れてかれる?」みたいな気持ちになります。
しかし、よく考えれば当然の話で、彼らは自国の安全を守ることが職務であり、笑顔で迎え入れることが仕事ではありません。
相手は真面目に仕事をしているだけなので、気負わず正確に質問に答えていけばいいだけです。
ただし、審査官や職員の中にも厳し目な人がいたり、その国の情勢によって入国審査や税関が厳しくなっていたりする場合があります。
嘘は絶対ダメですが、必要以上の情報を伝えると審査官や職員の解釈次第でスムーズに入国できなくなるかもしれません。
正確に簡潔に必要な回答を心掛けることが吉です。
入国審査と税関の流れ
現地到着から税関までの流れは次のとおりです。
- 出入国カード・税関申告書を書く(不要な国もある)
- 入国審査場に行く
- 入国審査窓口で必要書類を提示し質問に答える
- 預入荷物を受け取って税関を通過する
出入国カード・税関申告書を書く
○出入国カード(Immigration card)
出入国カードは出入国時に自分の情報を記載し提出するカードです。
氏名、生年月日、国籍、パスポート番号、住所、出発地、便名、滞在先などを記載します。
入国用と出国用が一枚綴りになっていて、入国審査時に両方にスタンプが押されます。
出国時にスタンプが押された出国用を提出します。
○税関申告書(Customs Declaration)
税関申告書は申告が必要な物の有無・種類・量などを記載する書類です。
氏名、生年月日、国籍、パスポート番号も一緒に記載します。
どちらの書類も出発の機内で渡されますが、現地の入国審査場・税関にも置かれています。
機内で渡されるものには日本語版を用意してくれている国があるので、出発地が日本で外国語が苦手という人は機内で貰うと楽だと思います。
記入時はペンが置いてないことが多々あるので、海外に行く際はペンを手荷物に入れておくと便利です。
国によっては、出入国カードと税関申告書の片方、または両方不要です。渡航前にウェブなどで調べておくと迷わずにすみます。
入国審査場に行く
到着後は“Arrival”の表記を目印に入国審査場に向かいます。
入国審査場の表記は“Immigration”や“Passport Control”です。
入国審査窓口はいくつか種類が分かれており、海外旅行や出張であれば外国人用の窓口に行きます。
表記は“Foreign Passport”、“Non Residents”、“All Passport”などです。
窓口の表記は国ごとでまちまちですが、審査窓口前は行列になるのが常なので“Foreign”や“All”を目印にしつつ外国人が並んでいそうな列を目指せば間違わないです。
入国審査窓口で必要書類を提示し質問に答える
順番が来たら空いている窓口に進みます。気付かなくても審査官から“Next”と大きな声で呼ばれます。(怒られてる?と勘違いできる程には大きいです)
パスポートやビザなど必要書類を提示し、入国審査官の質問に答えます。
質問が終わると審査官がパスポートと出国カードにスタンプを押してくれ、入国審査が完了します。
預入荷物を受け取って税関を通過する
預入荷物があれば受け取りに行きます。
荷物を全て揃えたら、パスポートと記入済み税関申告書を持って税関に向かいます。
税関は“Goods to declare”(申告物有り)と“Nothing to declare”(申告物無し)に分かれています。
○Goods to declare(申告物有り)
渡航先で申告が必要な物を所持している場合は、こちらの窓口です。
パスポート・税関申告書や申告物のチェックを行います。
○Nothing to declare(申告物無し)
申告が必要な物がなければ、こちらの窓口です。
パスポート・税関申告書を提出し、全ての荷物をX線検査にかけます。
X線検査で税関職員が気になることがなければ税関完了です。もし職員が気になることがあれば荷物の中身をチェックされます。
以上で入国審査と税関は完了です。ようやく空港の外に出られます。
入国審査時によくあるやり取り
入国審査時によくある質問や会話をまとめます。
全てのやり取りが必ずあるわけではありませんが、頻度は高いです。
初めによくあるやり取りを一覧表にまとめます。
一例にすぎませんが、早見表のように使えればと思います。
職員の質問 | こちらの回答 |
---|---|
・May I see your passport?(パスポート見せて) ・Passport(パスポート見せて) | ・Here you are(どうぞ) ・Here it is(どうぞ) |
・What’s the purpose of your visit?(滞在目的は?) ・Why are you here?(滞在目的は?) ・Business or pleasure?(仕事で来た?それとも観光?) ・Are you a student?(学生さん?) | ・For business meeting(商談で来ました) ・For sightseeing(観光で来ました) ・For business conference(会議で来ました) ・No. I’m a tourist(いいえ、旅行者です) |
・How long are you staying here?(滞在期間は?) ・How long are you going to stay?(滞在期間は?) ・When are you leaving?(いつ帰るの?) | ・One week(1週間です) ・10 days(10日間です) ・22nd December(12月22日です) |
・Do you have a return ticket?(帰りのチケット持ってる?) ・Have you booked a return flight?(帰り便は予約済み?) | ・Yes. Here you are(はい。これがチケットです) ・Yes. Here you are(はい。これが予約票です) |
・Where are you staying?(滞在場所は?) | ・XXX hotel(XXXホテルです) |
・What do you do?(職業は?) ・What’s your occupation?(職業は?) | ・Office worker(会社員です) ・Public officer(公務員です) |
・Are you travelling alone?(一人旅?) ・Are you travelling by yourself?(ボッチ旅?) | ・Yes(はい) ・Yeah…(はい、、、) |
・How many times have you been here?(何回来たことある?) | ・First time(初めてです) |
パスポート見せて
キーワードは“Passport”です。
“Passport”という単語が聞こえたらパスポートを見せると考えてほぼ間違いないです。
この時、ビザなどの必要書類も提示すると話が早いです。
提示する時に何か言わないとダメということはないですが、“Here you are”(どうぞ)のように一言添えて渡す方が人間味を感じて好きです。
実際には、入国審査窓口にパスポートを携えて向かう人が多いと思うので、言われないかもしれません。
ちなみに、顔や指紋登録・認証を行う国があります。
“Camera”や“Finger”がキーワードです。写真や動画の案内がある時もあるので、指示の通りに作業しましょう。
滞在目的は?
キーワードは“Why”、“Purpose”など理由を尋ねる言葉です。
なぜ来たのかと滞在目的を確認する質問です。
○仕事で来た時には回答に注意
滞在目的に“For work”や“For job”と答えると就労目的と判断され、入国審査が長引くかもしれないからです。
これは、日本のパスポートはビザ不要・簡易ビザで入国できる国が多いことと関係しています。
ビザ不要・簡易ビザが適用される条件は、短期滞在で観光・商用(商談など)目的の人にのみ適用されることが一般的です。
“For work”などは、審査官に「働きにきた」と勘違いされるかもしれない表現で、有効なビザがないと判断される可能性があります。
“For business meeting”(商談)のように具体的にどんな仕事かが分かるようにするとトラブルは少ないです。
○ワーキングホリデイビザも同じ
ワーキングホリデイビザのように観光しつつ、就労も通学もできるビザも注意が必要です。
学生ビザではないので、“Study”(勉強)のような回答をすると学生ビザではないと根掘り葉掘り聞かれるかもしれません。
“For sightseeing”(観光)のような回答が無難で無用なトラブルを避けられます。
○伝わらなければ補足説明はよろしくない
一言二言程度の回答で伝わらなければ補足説明と考えることはおすすめしません。
当初の発言と矛盾すると考えられ、詳しく調査が必要な対象とみなされる可能性があるからです。
そういうケースでは、さっき答えたという質問が再三繰り返されます。何度も同じ質問をして、矛盾や綻びがないか確認する為です。
こちらとしては嘘を言っているつもりがなくても、入国審査官がこちらの考えや気持ちを分かるはずもありません。
彼らは彼らの職務を全うするだけですし、目の前で起こった事象を客観的に捉えて判断するだけです。
相手に誤解を与える可能性のある発言は控えることを意識しましょう。
関連記事:期待するって身勝手じゃない? 期待しない・されない平穏な生き方
滞在期間は?
キーワードは“How long”、“How many days”など期間を尋ねる言葉です。
“When are you leaving here?”、“When are you going back?”の様に、いつ此処を発つか・帰るか?と若干変化球な質問の時もあります。
ホテルや帰り便を手配しない長期滞在で、そのまま不法滞在されてしまうケースがあるよらしく、滞在期間の長さを確認しているようです。
次の様な客観的に不法滞在目的ではないことが分かる書類があると説明が楽です。
- 帰り便の予約票
- 現地会社とまとめた出張スケジュール表
- 現地のアクティビティの予約票
予定は未定な旅、帰り便や滞在先を確保していない、といった場合でも入国は可能です。
しっかりと説明すれば追い返されるということはないと思いますが、普段より質問時間が長くなる覚悟は必要かもしれません。
帰り便は予約してる?
キーワードは“Return”や“Back”など帰りを示唆した言葉です。
これも不法滞在や不法行為をチェックする為の質問だと思われます。
特に短期条件で入国する場合に帰り便を予約していないと不審がられることがあります。
国によっては、帰り便の予約、帰り便を手配するのに十分な資金の証明、を求められます。
短期滞在で帰り便が決まってないことってある?という疑問は当然と言えば当然です。
帰り便の予約があれば、予約票を見せると手っ取り早いので用意しておきましょう。
滞在場所は?
キーワードは“Where”と“Stay”です。「どこ」に「滞在する」のかを訊いています。
見知らぬ土地に拠点も無しに来る?という納得の疑問です。
やはり不法行為をチェックする為の質問だと思います。
ホテルを予約していれば予約票を見せればOKです。
友人宅など宿泊施設ではない滞在先の場合は、住所や友人の連絡先を求められるかもしれません。
友人の個人情報なので、勝手に教えていいものはありません。事前に友人の確認を取りましょう。
関連記事:海外出張 ホテル予約と利用時の注意事項
職業は?
キーワードは“Occupation”、“What do you do?”です。職業を訊いています。
頻度は比較的低い質問ですが、相手の佇まいや滞在期間・場所などによっては訊かれることがあります。
バックパッカー時代に何度かこの質問に遭遇したことがあります。「旅人」みたいな格好で何カ国も回っていたので、どのように資金を捻出しているか訊かれました。
おそらく不法就労で資金を作っていないか疑われたのだと思います。
同行者はいる?
キーワードは“Alone”、“By yourself”、“With your friends”など、一人なのか、誰かと一緒なのかを確認する言葉です。
この質問を何度か問いかけられたことがありますが、特にそれ以上詮索されることはありませんでした。
もしかしたら同行者がいる場合に、グループで矛盾がないか、怪しいところがないかを確認しようとしていたのかも。
あるいは、単体の質問ではなく、他の言動と合わせて矛盾がないかを確認しようとしていたのかもしれません。
何回来たことある?
キーワードは“How many times”、“Have you been”など、回数や渡航歴を確認するものです。
繰り返し訪れている国で質問されやすいです。
一般的に、ビザ不要・簡易ビザでの渡航は、繰り返しの渡航を想定したものではありません。
出張目的であれば、繰り返しの入国が可能になる商用数次ビザ(マルチビザ)があるので、取得を検討してみるといいかもしれません。
商用数次ビザは、出張先の会社の紹介状・招待状が必要な場合が多いので事前に相談してみましょう。
入国審査や税関で気を付けたいこと
入国審査や税関は自国の安全を守る為、渡航者に対して様々な質問を投げかけます。
一つ一つの質問は、嘘つかれても分かんなくない?と思えるものですが、回答を組み合わせたり、同じ質問を繰り返したりして矛盾がないかを探っています。
仕草や表情にも目を光らせていると思います。
したがって、嘘はもちろん、テキトーな回答もよろしくありません。
辻褄が合わなければ、途端に突っ込まれます。態度に落ち着きがなければ疑問を持たれます。
分からない質問には、なんとなくでは回答せず、しっかりと聞き返しましょう。
そして、正確に簡潔に必要なことだけを回答しましょう。
○質問がうまく聞き取れない時
聞き返したり、ゆっくり話して欲しいとお願いしたりすればいいです。
- “Sorry?”(すみません、もう一度お願いします)
- “Could you speak a little slower, please?”(もう少しゆっくり話していただけますか?)
簡単な表現やゆったりとした話し方をしてくれると思います。
○回答が文章で思い浮かばない時
正確な情報を込められた単語と単語を繋げましょう。
文章が思い浮かばず焦ってしまうと、ついつい余計な言葉を挟んで間を繋ごうとしてしまいます。
挙動不審に思われるかもしれませんし、回答を誤解されてしまうかもしれません。
開き直って、しっかりと間を取って、単語と単語を繋ぎ合わせた方が、正確な情報を相手に伝えることができます。
まとめ
入国審査や税関の流れをおさらいします。
- 出入国カード・税関申告書を書く(不要な国もある)
- 入国審査場に行く
- 入国審査窓口で必要書類を提示し質問に答える
- 預入荷物を受け取って税関を通過する
入国審査官や税関職員が厳つい対応なのは万国共通です。決して意地悪しようとしているわけではありません。
落ち着いて、正確に簡潔に必要なことを回答する。
これさえ忘れなければ、問題なく入国できると思います。
以上、最後までありがとうございます。