誰しも一度や二度は経験がある「言った言わない問題」。
「言ったよね!?」「聞いてねーよ!!」と水掛け論になるだけなので、解決することなく気力と時間をただ消耗するだけの問題です。
会話の内容を記録しておけばいいだけなのですが、ついつい口頭だけで終えてしまう癖があると頻繁にお目にかかってしまいます。
解決する為には、自分が引くという大人な対応を求められるのですが、タイミングが悪いとババを引いてしまうことも、、、
なので、言った言わない問題は未然に防ごうじゃないかと次のことが分かる内容になっています。
- 言った言わない問題は解決できても、めんどくさい
- 言った言わない問題の原因とは
- 言った言わない問題の防止策
言った言わない問題の解決はめんどくさい
言った言わない問題が発生すると解決するのが大変です。
なぜなら、この問題は一般的に次の条件下で発生するからです。
- 「言った言わない」の記録がない
- 「言ったよね!?」「聞いてねーよ!!」と、相反する主張を両者共に自分が正しいと思っている
- 「言った言わなかった事柄」がややこしい案件と化している
記録があれば言った言わない論争に発展しないのはもちろんのこと、言った言わないの案件が些事であれば、「あれ、そうだっけ?」ってな感じで話は終わります。
言った言わない問題に発展する際は、大抵がその案件がややこしくなっていて、責任が発生するので、双方簡単に「言わなかったけ?」「忘れてたかも、、、」みたいに認めることができなくなります。
つまり、「ややこしくなった案件の責任はどちらにあるか」と「ややこしくなった案件の解決」のテーマを同時に相手にしなくてはいけなくなります。
この時の対処はめんどくさいです。
ややこしくなった案件の解決が急務なので、言った言わないの水掛け論を長引かせるわけにはいけません。
双方が感情的になることを防ぎつつ本来の案件に対処できる状況に持って行く必要があります。
具体的には、「確認をしっかり取っておくべきでした、、、」と言い切らないで自分が引くことがポイントになります。
言った言わないの水掛け論に対して、強硬な姿勢を取ると双方が感情的になるだけです。
それに、この問題が発生している地点で双方に落ち度があるので、最後まで強硬な姿勢を崩さなかった側が最終的に具合の悪いことになります。
これで一応は本来の案件への対処にコマを進めることができます。
しかし、自分の影響力や立場が弱い場合は、ちょっとしたニュアンスやタイミングを間違えただけで感情的に叩き潰されたり、自分だけの責任に追い込まれたりすることがあります。
言った言わない問題の解決だけでもめんどくさいのに、自分の置かれた状況によっては一層難しくなるので、ベストな解決策は言った言わない問題は発生させないことになります。
言った言わない問題の原因
- 口頭での伝達で終わる
- 伝えたつもりになっている
- 曖昧な表現で理解に違いがある
- 伝わっているか確認しない
一部冒頭でも触れましたが、言った言わない問題の原因は主に上記になります。
伝達した記録がないことが大きな要素ですが、言った側と聞いた側の理解に違いがあることも原因になり得ることがあります。
口頭での伝達で終わる
当然ですが、口頭で伝えるだけでは記録が残りません。
言った言わない問題が発生しても、記録がなければ時系列を振り返ることができません。
言った言わない問題の泥沼化の始まりです。
また、あまり考えたくはないですが、相手に責任を押し付けようと悪意を持って言った言わない問題に持ち込む人がいるのも事実です。
口頭のみで記録が一切残っていない伝達方法は危険だと思います。
ちなみに、聞き手側がメモを取って記録する方法がありますが、言った言わない問題の解決という観点からは、この項目に当てはる事例です。
聞き手側のメモだけだと、次の状況には対応できません。
- 言った側が伝達したことを忘れた場合
- 言った側が発言を忘れて「そんなこと言ってない」と言われたら、聞き手側のメモだけで納得させることは難しいでしょう
- 聞き手側がメモの存在すら忘れた場合
- 言った側に伝達した物的証拠がなければ、メモの存在すら忘却の彼方な聞き手側を納得させることは難しいでしょう
という感じで、「言った側が伝達した記憶があって、聞き手側がメモの所在を把握している」時にしか機能しません。
そもそも言った言わない問題が発生しない状況だとも言えます。
伝えたつもりになっている
言った側が伝えたつもりになっているけど、実際には伝えていない状況です。
先述の口頭のみでの伝達との合わせ技で見られます。
言った側は伝えたつもりになっていますが、聞き手側は初耳なのでメモすら残っていません。
やはり、聞き手側だけでなく、言った側の手元にも記録が残る仕組みづくりが必要です。
言った側が伝達の記録を残す習慣があれば、「あれ?伝えてなくね?」と気付くことができるので。
曖昧な表現で理解に違いがある
伝達の記録が残っていたとしても、曖昧な表現の為に双方の理解に食い違いが起きれば言った言わない問題の可能性があります。
例えば仕事で上司から部下に「急ぎ作成して欲しい」とチャットを送ったとして、次の理解の違いがありえます。
- 上司の急ぎの意味は、「今の作業を終えたら急ぎ取り掛かる」
- 部下の急ぎの理解は、「今の作業を中断して急ぎ取り掛かる」
上記の場合、急ぎの成果物を提出した暁には、上司からの「そんなこと言ってないよ!?」のお言葉は約束されたようなものです。
何故そんなことが起きるのかと言えば、曖昧な表現を使うからです。
記録を残そうがなんだろうが、曖昧な表現で伝達してしまうと理解の不一致を生んでしまうことがあります。
双方、伝達があったことには合意するでしょうが、解釈が違うという意味で「そんなこと言ってないよ!?」「え?言ったよね!?」という言った言わない問題へと発展する可能性があります。
伝わっているか確認しない
「伝わっているか確認しない」には2つの意味があります。
- 解釈が一致して伝わっているかの確認をしない
- 伝達そのものができているかの確認をしない
解釈が一致して伝わっているかの確認をしない
前項の「曖昧な表現〜」と重なりますが、言った側と聞いた側の解釈が一致しているかを確認しないことで言った言わない問題に発展します。
曖昧な表現を使っていなかったとしても必ず解釈が一致しているとは限りません。
話が伝わったとは、「相手に情報が届いた」ではなく「解釈が一致して届いた」と考えることが重要です。
この意識は聞き手側にも同様のことが言え、単に了解したみたいな返信だけだと確認する機会をすっ飛ばすことになります。
伝達そのものができているかの確認をしない
聞き手側が知らなければ言ってないのと同義だ理論が存在する為です。
例えば、メールを送信したけれど、受信者(聞き手側)が忙しく他のメールに埋もれてしまい見落としたとします。
メールなので伝達した記録は残りますが、受信者から返信などのリアクションがないのであれば、送信者(言った側)が返信の催促や届いているか再確認をすべきだという考え方です。
この考え方は、聞き手側が強い立場の時に特に見られ、言った側には理不尽に感じる考えですが、反発する必要もないかなと思います。
言った言わない問題の本質は、面倒ごとや責任の擦り付けあいに近いところがあります。
少ない作業で面倒ごとが回避できるならそれでいいですし、相手の方が強い立場であれば、責任を擦り付けられてしまう確率は高いです。
伝達そのものの確認をしないと、リスクが大きくなります。
言った言わない問題の解決策もとい防止策
先述した通り、言った言わない問題の一番の解決策は、言った言わない問題を発生させないことですので、防止策を施すことになります。
前項の原因から考える解決策もとい防止策は下記のとおりです。
- 双方がアクセスできる記録を残す
- 曖昧な表現を使わない
- 伝わったか確認する
双方がアクセスできる記録を残す
伝達をしつつ記録を残せるツールは色々あり、メールやチャットツールはその代表格です。
内部であれば、Microsoft TeamsやSlackのようなツールは目的や案件ごとにグループの作成もできるので、簡単に記録を残しながらコミュニケーションができます。
口頭でやり取りしたメモがあれば、チャットを介して双方で内容の齟齬がないか確認することができます。
会議や打合せでは、議事録や覚書を作成すると思うので、議事録をグループチャットにアップすれば全員が確認できます。
外部とのやり取りは、契約書、見積書、発注書、納品書や請求書などの書類を作成するのが一般的です。
まさしく、言った言わない問題を回避する為の大事な書類になります。
とはいえ、成約するまでの打合せや日々の細かいやり取りは面談や電話などの口頭でのコミュニケーションが発生しないわけではありません。
口頭でやり取りした内容は、メールで送付すれば記録を残せます。
後述しますが、じゃあ全てを記録に残すのかというと、残さないでいいと思います。
大したことない案件は言った言わない問題にほとんど発展しないので、省エネの為にも躍起になって記録を残す必要はないです。
曖昧な表現を使わない
所謂、5W1Hを意識した伝え方にすると曖昧な表現を使わずに済みます。
また、普段から自分の考えを言語化する癖を付けておくと、漠然としたイメージだけの会話の防止策になります。
関連記事:言語化の力と鍛え方。この想い伝われ!!って時にめっちゃ使える。
曖昧な表現を使う理由は、相手を慮って直接的な表現やはっきりと言わない気遣いなのかなと想像しますが、結果的に言った言わない問題に発展した場合を考えると悪影響になります。
明確な希望があるなら、それをちゃんと伝えた方が物事は円滑に進みます。
自分の意図を相手も分かってくれるだろうと期待するのは身勝手なんじゃないかなと思います。
関連記事:期待するって身勝手じゃない? 期待しない・されない平穏な生き方
ちなみに、お互いをよく知った上で、本当にできるだけ急いでくれたらいーや位の案件であれば、「できるだけ急いで」と普段は曖昧とされている表現を使ってもいいと思います。
何故って、自分の希望を的確に表現している内容が、「できるだけ急いで〜」なわけなので。
伝わったか確認する
- 解釈が一致して伝わっているか
- 伝達そのものができているか
言った言わない問題の防止策として、上記2つの確認をすることが重要です。
解釈が一致して伝わっているか
自分が聞き手側の時は、「私の理解は〜ですが、合ってますか?」と素直に聞けばOKです。
自分が言った側の時も、「解釈に食い違いが無いか確認したいです。」と素直に聞くのが一番手っ取り早いです。
もしも聞きにくい人であれば、こちら都合で進捗確認の必要があると理由を付けて、進捗を確認するようにします。
進捗がイメージ通りかで解釈の不一致を見抜くことができます。
伝達そのものができているか
返信してもらえれば伝達できていることが確認できます。
返信がないようであれば、届いているか確認をしたり、返信の催促をしたりして確認をします。
伝達の際に、簡単にYesかNoで回答できる質問を一つ入れておくと自然な形で届いているか確認できます。
チャットツールによっては既読が分かる機能が付いていますが、過信は禁物です。
メッセージを開いただけで既読が付いてしまうので、本当に内容を見てもらっているかまでの確認ができません。
同じく簡単に回答できる質問を入れておくか、グループ内でちゃんと見たという意思表示するルールを作成します。
口頭で伝えることにもメリットはある
言った言わない問題の解決策はアクセスしやすい記録を残すことです。
したがって、伝達方法はメールやチャットなど文章を送るツールが主体になります。
じゃあ、口頭での伝達って不要なのかっていうと、そういうわけではありません。
それぞれのメリットとデメリットをざっくりまとめると下記になります。
伝達方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
口頭 | ・その場で伝達が確認できる ・感情を伝えられる ・討論ができる | ・記憶が残らない ・双方の時間を同様に消費する ・話が脱線しやすい |
メールやチャット | ・双方アクセスできる記憶が残る ・それぞれの時間都合で良い ・本題に集中したやり取り | ・いつ見てもらえるか分からない ・表情や抑揚が分からない ・やり取りが間延びする |
表を見比べると、それぞれのメリットとデメリットが丁度補える関係性にあることが分かります。
例えば、緊急事態をいつ見てもらえるか分からないメールで伝達すると手遅れになってしまうかもしれません。
相手に謝罪する時に、こちらの表情や抑揚など感情が分かりにくいメールで伝えても上手く謝罪の気持ちが伝わらないかもしれません。
こんな感じで、口頭での伝達にもメリットがあります。
口頭、文章、それぞれのメリット・デメリットを把握して適切な伝達手段を選ぶことが大切です。
なんでもかんでも記録に残さなくてもいいかもしれない
冒頭でも書いたとおり、些事であれば言った言わない問題に発展することはありません。
なんでもかんでも記録に残す必要はなく、重要だったり特殊だったり、双方が忘れては困ることに集中すればいいです。
例えば、常備在庫の電話問合せに対して、詳細な記録は残さなくてもいいと思います。
常備在庫であれば多少前後しても対処でき、言った言わない問題には発展しません。
逆に、特注品のようなイレギュラーなものは記録を残した方がいいです。
いざ納品となった時に食い違いがあれば即応が難しく、ややこしい案件へと進化し、言った言わない問題に発展します。
という具合に、案件や内容のレベルによって、記録するもの、しないものを分けます。
血眼になって全てを記録しようとすれば、本来すべきことの時間が失われますし、記録を把握しきれなくなり、言ったっけ?言わなかったけ?と本末転倒になりかねません。
情報の取捨選択は大事です。
まとめ
言った言わない問題は、水掛け論になりがちで不毛なやり取りに疲弊しがちなので、未然に防ぐのが一番体に優しいです。
ということで、言った言わない問題の防止策は次のとおりです。
- 双方がアクセスできる記録を残す
- 曖昧な表現を使わない
- 伝わったか確認する
伝達方法は、それぞれメリット・デメリットを持っています。
最適な方法を選択してストレスフリーなコミュニケーションを取りたいですね。
以上、最後までありがとうございます。