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学び

「つべこべ言わずに手を動かせ」はあながち間違いでもない時はある

「つべこべ言わずに手を動かせ」

新人時代に職場で上司によく言われていた言葉です。

「いや目的とか教えてもらった方が効率いいだろうよ」とか「もう少し言い方ってあるんじゃね?」とか当時は色々不満ありました。正直、誰かに伝える立場になった今でも工夫のしようはあっただろうなと思う部分はあります。

ただ、「ともかく手を動かしてみる」という経験は財産になったなと感じていますし、その点当時の上司には感謝しています。さすがに人への伝え方は工夫しますが、自分自身には「つべこべ言わずに手を動かせ」と今でも働きかけたりしています。

特に知識や経験値が乏しい初心者の頃って、ともかくやってみないとわからないことって多いです。思っていたのとやってみるのとでは全然違ったって感想なんかはまさにそれです。

「つべこべ言わずに手を動かせ」は実は中身があったということで、ざっくりまとめると、

  • 実際に手を動かすことで知識や技術は定着するので大切
  • 手を動かせば次以降の指標や比較対象が手に入る
  • やることがぼんやりしていたり、考えすぎたりすると手が動かなくなる
  • とりあえず殴り書きをすると手を動かすことのハードルを下げられる
  • 実際に書くという行為によって周囲とイメージを共有するのも楽になる
  • 結局、手を動かして初めて成果が出るというのは一つの事実だ

「つべこべ言わずに手を動かせ」はとっても大事

冒頭の通り、私の行動の基本スタンスは「つべこべ言わずに手を動かせ」です。

もちろん全てがそうだというわけではなく取り返しのつかない案件や最悪の事態が全く想像できない案件みたいにリスク管理ができないようなケースは別ものです。なんでもかんでも「まず行動!」みたいな考えではありません。

ただ、とりあえず手を動かすってことは非常に重要で、頭で考えたりイメージしたりしたものを出力することでノウハウや記憶として定着されます。

学生時代に練習問題や基礎練習を行うことで知識や技術が定着した経験をお持ちの方って結構いると思います。

「何の意味があるんだよ、、、」とか「目的がよくわからん、、、」って思いながら繰り返し行っていたけれど、成長やステージが進むにつれ「あれってこんな意味があったのか」みたいな気づきがあった人もいませんかね?結構私はあったりします。特に大人になってから。

当時の先生だって何一つ意図を教えてくれないなんてことはなかったと思うんですけど、実際に自分が経験していないから実感というか腹落ちしていなかったのかなと思います。(右から左に聞き流して可能性も否定できませんが。)

もう一つ、とりあえず手を動かすと良し悪しは別として結果が返ってくる。つまり、指標や比較対象が手に入るので、次以降の動きやすさが違ってきます。

後になってから(私の場合は大人になってから)「つべこべ言わずにやっていたことには意味があったんだ」とか「もっと効果的な方法を見つけた」とかに気づくことができる理由って、もちろん知識や技術が定着したからというのはあると思うのですが、ともかく手を動かしたことによって得られた結果が比較対象となってくれるからというのもあると思うんです。

頭の中でイメージするだけで自分の物にできる人はいます。でも、凄く稀有な存在だと思います。

考えたことを出力することで「知識や技術の定着」、「イメージだけではわからなかった課題」、「成果を出すことで得られる自信」、「指標や比較対象」などを手にしていくのが一般的です。

「つべこべ言わずに手を動かせ」の本質を見てみると、実は凄く大事なことを伝えてくれているんだなぁと感じます。

「手を動かしてみる」は案外できない

つべこべ言わずとはいいませんが、とりあえず手を動かすってことは大事です。ただ、なかなか手を動かせない、行動に移せないということは結構あります。

意味や目的が定かではない、規模感がわからない、工程が不明確だと感じると、行動までの心理的ハードルって実は高くなるので、それらが原因になっている場合が多いです。

本当に何も教えずに「つべこべ言わずやってみろ」は論外とはいえ起こりうる状況ですし、相手としては伝えたつもりがこちらにしてみると要領をえないなんて状況もありえます。

もしくは、ある程度の理解はあるけれど完璧な方法や完成度を求めるが故に動かせなくなることもあります。

完璧というものが存在するのかは気になるところですが、仮にあったとしても少々考えた程度で見つけることは難儀しそうです。

結果、とりあえず手を動かそうとすると、

  • やることがぼんやりしていて動かせない
  • 考えすぎて動かせない
  • なんだかめんどくさいから動かせない

といったことが起きるのかなと。

実際の理由は人それぞれですので、上記が必ず当てはまるというわけではないですが、理由ランキングみたいなものを作ったとすると結構上位に食い込むんじゃないかと思います。

で、そんな時にはとりあえず思ったことを殴り書きしてみたらどうかと思うのです。

殴り書きが手を動かす為のハードルを下げてくれる

目的やら規模感やら工程やらが不明瞭なまま手を動かそうったって動きません。何かしら自分の中で明確な道筋が欲しいと感じるのは当然です。

ならば、雑で構わないので自分なりの道筋を作って手を動かすハードルを下げてしまいましょう。

漠然としていても目的や工程を頭の中ではぼんやり思い浮かべていると思います。

その思い浮かべたものをどんな些細なことでも次々殴り書きしてみます。次のような効果が期待できます。

  • ともかく手を動かすのでスイッチが入る
  • 自分のイメージや考えを可視化できる
  • 煩雑なイメージや考えを整理整頓できる
  • 自分がわかる範囲だけでも工程を細かくできる

思ったことを殴り書きした時点で、「とりあえず手を動かした」状態です。人間不思議なもので行動に移すだけでもスイッチというか作業に集中しだします。この時点で少しめんどくささが軽減されます。

思い浮かべているだけのイメージや考えは意外と散乱しているものです。殴り書きによって可視化・整理整頓すると、思い浮かべていただけの時よりも秩序と具体性のある内容にまとめることができるので、ずっと手を動かすハードルが下がります。

この時、わからないなりに考えたイメージなので工程を進めていくと気づかなかった課題にぶち当たることはありますが問題ありません。思い浮かべるだけでは気づかなかった課題を発見できたということですし、具体的な課題への対処は経験として蓄積されていきます。

完璧を求めるあまり考えすぎて動けないという場合、そもそも最初から完璧なんて目指すと碌なことねーよというのが持論です。大枠から完成を目指しつつ細部を整えていけばいいと思ってはいます。

関連記事:完璧って何基準での話?まずは「ほどほど」で完成形を探ろうと思う

自分では完璧って思って完成させても、依頼者からは完璧でないかもしれないです。そんな時の完璧って外からの評価としては自己満足になってしまうかもしれません。

相手の意図を汲み取って、それを落とし込む作業は必要です。一度で完璧に仕上げるって誰の何を基準にしたものなのかは考えた方が良さそうです。

それに、自分の中での完璧っていうのも、「今の自分基準」だってことも重要です。

日々、自分の考え方は色々な影響を受けて変わっていくものですし、自分が成長していくと、過去の自分の完璧さっていうのは大したことねーよって話になると思います。

基準が曖昧で、かつ一時の完璧さに時間掛けてももったいないです。

とはいえ、初めからある程度完成度を高めたいと考える人もいると思います。そういう場合も殴り書きはいくらか効果を発揮します。

先述の通り、頭で考えるだけだとイメージは散らかりがちです。経験豊富な上級者でないとなかなか思考だけで綺麗にまとめることはできません。

殴り書きで可視化してみると「あれ、意外と悪くないんじゃない」と感じられるかもしれません。

それに、イメージや考えを可視化すれば、周囲の上級者や先輩あるいは上司に相談しやすくなりますし、される側もアドバイスしやすくなります。

一人であれこれ考えすぎて作業が一向に進まないくらいなら、周囲の人に頼ることも大切じゃないかと思います。

そして、重要なこととして、殴り書きは有効というのは私がそうだっただけで必ず有効だと言いたいわけではないということです。

こういう方法もあるんだなぁ程度に認識してもらえれば幸いです。人それぞれ自分に合ったやり方があって然るべきだと思います。

手を動かした後のリスクが怖い時には

つべこべ言わずに手を動かしたとして、じゃあリスク管理はどうすんのと。そう思っていた時期ありました。

まず当たり前の話として「つべこべ言わず手を動かせ」っていう時のリスクなんてむちゃくちゃ低い。無いのと一緒。動かせと言われた側が考える必要ありません。

もしもリスクがあるのなら、それは指示した人が悪いです。100%

では、全く知見がないわけではないけどリスクがはっきりとはわからない、自分が思うにそこそこリスクあるんじゃないかと思う時はどうするか。

ここでも殴り書きが役立つかもしれないです。

先にも書いた通り自分のイメージを可視化すると周囲への相談がしやすくなるわけで、リスク管理の相談ができるかもしれません。

リスク管理の判断って結構経験値を要求される場面が多いので、上級者の知見を拝借することの効果は大きいです。

わからない時は素直に聞くって基本にして最大の武器です。

手を動かしてみないとわからないことってある

「とりあえず手を動かす」というのはある種ダメ元でもやってみるという側面はあります。トライ&エラーで都度課題を見つけていく感じです。最短ルートで駆け抜けたいのに、効率が悪いコストのかかる方法に感じる人だっているはずです。

とはいうものの、成果は何かを出力した結果でしか出ません。頭の中で思い浮かべているだけでは出てこないのも事実です。

明らかに無駄とわかりきっているものはイメージだけで弾いてしまっていいと思うのですが、ちょっとどうなるか断言できない、わからないものは手を動かした方が結局早いってことあると思うんです。

「つべこべ言わずに手を動かせ」って言うのには、手を動かしてきて良かったという歴史が込められてはいるんじゃないかなと、好意的に受け取ってもいいときはあるんじゃないかなと思います。

以上、最後までありがとうございます。

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