海外に長期滞在するのに必要なビザが必要、その中にワーキングホリデービザという種類があります。
この制度に同意した国同士では若者を対象に条件付きで就労や就学を認めるビザが発行できます。
ちょっと前に為替やら物価差やらで日本より高収入かもと話題になっていました。
で、このワーキングホリデー。海外で就労が可能なので社会人にとって海外や帰国後のキャリア形成にという考えを観測することがあります。
比較的取得が容易で就労できる。海外での実務経験が積める可能性が高まると考えるのは妥当ですし、ワーキングホリデー後のキャリアを考えると周囲にアピールできる材料が欲しい気持ちわかります。
実は私、20年くらい前にワーキングホリデーを利用したことがあります。当時はいわゆるバックパッカーでして世界中を放浪するのが大好物でした。めちゃくちゃ貧乏でしたが。
私自身は旅の途中で旅費が稼げる!!というのが目的なのでキャリア形成のことなんてこれっぽっちも考えていませんでしたが、周囲にはいました。
20年前と今では状況は違うのでしょうが、今でも同じような話題をネットで見るあたり、本質的な部分は変わっていないのかなと思います。
そんな私が思うワーキングホリデーの使い道ですが、海外を思いっきり楽しむこと。
直接キャリア形成につながることはなく、もしも繋がったのならめちゃくちゃラッキーくらいのもんだと考えています。
特に社会人になると将来について考えることは多く、ワーキングホリデーを使うことを悩んでいる人がいるかもしれません。
一例として、ワーキングホリデー検討中の人の参考になればと思います。
ざっくりまとめると次のような内容です。
- ワーキングホリデーの趣旨は若者の異文化交流が円滑に進むよう現地で滞在費を稼いでもいいよという制度
- 通常のワーキングホリデーでキャリア形成に直結するものではなく補助的な役割
- キャリア形成に成功している人の多くは、キャリアプランの一部の位置付けでしかない
- もしくは、めちゃくちゃ幸運な人
- ワーキングホリデーはその名の通り「休暇」なので、通常運用ではキャリアの空白期間は避けられない
- 空白期間が不安な人は事前準備が必須で、準備できないなら行かない方がいいかも
- 私はワーキングホリデーで海外生活を思いっきり楽しみ、遊んできた
ワーキングホリデーは海外で働く・勉強する為の制度ではない
ワーキングホリデーは国家間で取り決める制度です。制度の趣旨はきちんと設定されています。外務省のウェブサイトで確認ができます。
ワーキング・ホリデー制度とは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。各々の国・地域が、その文化や一般的な生活様式を理解する機会を相手国・地域の青少年に対して提供し、二国・地域間の相互理解を深めることを趣旨とします。
引用:外務省 – ワーキング・ホリデー制度
要約すると「若者が異文化交流しやすいように滞在費を現地で稼げるようにしようぜ」です。
通常は旅行用ビザでの就労はできないので、海外に長期滞在するには結構な大金が必要です。しかし、付随的な就労が認められたワーキングホリデーを使えば金銭面のハードルは下がり、海外に滞在しやすくなります。
自由に滞在場所を選び、自由に就労と旅のタイミングを切り替えることができます。就学することも可能なので学校に通うという選択もできます。異文化交流においては最強のビザだと思います。
ただし、これほど便利なビザなので制限はあります。
例えば、
- 申請時に18以上で入国時に30歳以下あること(一部26歳以下)
- 滞在可能期間は基本1年(イギリスは2年など例外あり)
- 1カ国につきビザ発行は1人1回まで
- 就労・就学できる期間や時間に制限がある国あり
ビザの趣旨は若者の異文化交流の促進なわけで無闇に長期滞在の許可は出せませんし、1カ国につき一度きりしか使えませんし基本的に延長もできません。オーストラリアは条件を満たすと最長3年滞在可能ですが。
これらの制限を鑑みれば就労や就学を主目的としたビザではないことが明らかです。
ワーキングホリデーでキャリア形成は可能なのか
可能かどうかで言えば可能です。実際ワーキングホリデーを活用してキャリア形成している人は当時もいました。
ただ、成功例のほとんどは別ルートでもできただろうなって人たちです。
キャリア形成を日本にいることから意識して、語学の勉強、目標の設定、労働市場や自分の強みの分析など実行済み。ワーキングホリデーは不測の事態に生活費を稼げるリスクヘッジに便利だな。
みたいな感じで、ワーキングホリデーはプランの一部でしかないような人たちで、仮にワーキングホリデー以外のビザでも同様の結果が出ていたんじゃないかなぁと思います。
もちろんワーキングホリデーが起点になって成功した人はいますが例外です。現地で死ぬ気で頑張った、めちゃくちゃ幸運だった、などレアな存在です。
事前準備そこそこで海外キャリア形成の起点がワーキングホリデーだとすると、直接的にキャリアに寄与するかどうかは難しいというのが私の経験上の意見です。
数ヶ月語学学校行ったって大して話せません。現地語コミュ力そこそこでキャリアに直結する仕事ありつけません。
海外とはいえ単純作業が社会人のキャリア形成に直接寄与すると期待するのは少し難しいかなぁと思います。
断っておくと、私はワーキングホリデーって素晴らしい制度だと思います。海外での労働経験というのは価値あるものだと思っています。実際、貴重な体験を与えてくれた制度ですし。
でも、その素晴らしさというか効力が外部に直接働くものなのかは疑問です。自分の経験値や視野の発展、新しい挑戦へのきっかけのような内部、補助としての力に強みがあるものではないかなと思います。
それはキャリア形成やビジネスの場でも同じです。
キャリア形成もといビジネスでは周囲へのアピールは大事で、それは起業でも会社員でも同じです。自分の能力や強みをアピールし、それが相手の欲求にマッチすることで前進していきます。ワーキングホリデーの経験はそれらの補助で力を発揮します。
例えば、
- 語学に興味を持ち深く学んだ → 直接アピールできるものは語学力
- 会話の導入に使え雰囲気が良くなった → その後の交渉が本題
ワーキングホリデーの経験は価値がある。ただ、その価値を発揮する主戦場はキャリア形成の場ではない。というのが私の考えです。
ワーキングホリデーの帰国後キャリア空白期間問題
ワーキングホリデーは空白期間になるから不利だ。
遊びと思われないように目的を設定しよう。
ちゃんと計画すれば自分が成長できた期間だと面接で言える。
ワーキングホリデーに関する情報には決まって上記の内容が含まれています。(いや決まってるわけではないですが、本当に入っている情報しか目にしなかったもので、、、)
ワーキングホリデーに挑戦しようとする社会人にとって、帰国後の職歴の空白期間は気になる問題の一つです。昔に比べれば空白期間に敏感に反応する企業は減ったと思いますが、それでも良いイメージを持たれないのではと気になるところ。そういうニーズに応える情報ですね。
まず「ワーキングホリデー」は本来の目的が「旅費が稼げる休暇」なので、休暇と認識することは間違いではありません。なんなら直訳が「働きながら休暇」です。
なので、ワーキングホリデーという単語を使えば休暇取ってたんですねというリアクションは普通のことです。
もし空白期間が気になるならワーキングホリデーとは言わず、経験だけを伝えればいいのではないかと思います。
海外の大学に留学、現地法人で就労という人が具体的にどのビザを取得していたかなんて言いません。ワーキングホリデーと言う必要はないです。
問題は何を言うかですが、実際のところ若干脚色しないと転職面接の場で話せるような内容をワーキングホリデーで経験するのって難しいんです。
理由は前項の通りで普通にワーキングホリデー行くだけではキャリアに直結する仕事がなかなかできないからです。
繰り返しますが、できる人はいます。めちゃくちゃ現地で頑張った人います。でも、事実をそのまま面接で言うのはちょっと難しいとなるケースも全然あるんです。
ワーキングホリデーはあくまで休暇なんです。好きなことに挑戦する。国境を超えた友人と出会う。自分の知見を広げる。周囲への働きかけの為ではなく、これからの自分の為に財産となる経験をするのが本来の使い道なんです。
空白期間がどうにも気になるとすれば事前準備は欠かせません。準備が進まない時は行かない方がいいかもしれません。だって、空白期間は避けられないから。
私はワーキングホリデーで思いっきり遊びました。今でも連絡を取り会いに行き来する友人ができました。遊ぶ金欲しさに働きました。一種のモラトリアムみたいなものだったと自覚しています。
帰国後の転職活動で「遊びみたいなものですよね」と言われ、元気よく「はい!!」と答えるくらいにはワーキングホリデーを堪能してきた自信だけはあります。
以上、最後までありがとうございます。