国によってはもちろんのこと地域や人の数ほど文化と常識があるのが常識です。
とは言っても、いざ海外出張や駐在した時に文化の違いに面食らうってことは多々あります。そして、多分相手も面食らってます。
文化に優劣はないというのは大前提。そして、初めて見聞きするものに衝撃を受けてしまうのはThe人情なわけで、海外に行く前に心構えくらいはしときたいものです。
そんな時にはどうしましょうというのが今回のお話です。
正直、海外出張や駐在して面食らうことは数知れず、そんな状況を改善するにも時間が掛かるものばかりです。
国や地域や人種や宗教など、人それぞれ生まれ育った環境は多種多様なので当然と言えば当然ですが、それぞれの体に染み付いた感覚というのは言葉で単純に表せるものではないです。
旅行で行った先で楽しく過ごすだけならば多少の文化や考え方の違いはやり過ごすこともできなくはないですが、仕事となると相手にとって嫌な気分になることを伝えなくてはいけない時があります。
スケジュールや業務の管理、要求に届かないものの改善依頼、ミスの指摘、これらをこなす時に文化や考え方の違いによって面食らう状況をどう乗り越えるか。
結局はお互いの文化を理解する姿勢やそれらに順応する姿勢、コミュニケーションによって少しずつ改善していくのが王道になります。
シンプルでお手軽な方法はないんよっていうことを最初にお伝えしなければなりません。
海外出張の準備から滞在中まで、押さえておきたいポイントを下記にまとめています。海外出張が不慣れだという人のお役に立てれば幸いです。
文化は日常。我が家の日常は他所では非日常
逆もまた然りですが、自分が日常的なことと思っていることは国が変われば非日常的ということはよくある話です。
いくつかの例を挙げますが、これらはほんの一部だけで実際には出張や駐在する先の数だけ様々な文化や考え方があります。
時間への関心
日本の電車は時間に正確だという話はよく耳にすると思いますが、日本の電車は本当に正確です。
外国の旅行者が驚くのも無理はないです。なんなら始発ですら遅れることがあるのが海外の公共交通機関の日常です。
これは時間に対する感覚の違いが要因の一つかもしれません。その国々で運用コストと必要性を天秤にかけたら、実行に移さなくてもいいんじゃない?と考えられているのかもしれません。
実際に飛行機の国際線などは天候不良や乗客がいないなどの理由でもなければ大幅な遅れはあんまり見られません。それにも関わらず国内線だと遅延が頻発する国はあります。
国際線は他の国の上空も飛ぶので国際法的に遅延するとややこしいとか理由があるからかもしれませんが、何にせよある程度の時間の正確性を保つことはどの国でもできると考えられる事例なのかと思います。
なので、アポや会議の時間に遅れてくることがよくある国の場合、そもそもの考え方として遅れることが悪いことではない感覚である可能性があります。
打合せの重要性や時間が決まっていることなどをはっきりと伝えて、今回は遅れるとマズいんだわということを理解してもらうことが大事だったりします。
宗教的な考え
時間への関心とは逆に日本ほど宗教に対して緩い国も珍しいです。
よくある例え話で、クリスマスを祝うとすぐにお寺の除夜の鐘を聞き、年が開ければ神社に初詣です。
日本人のめでたいことは何でも取り入れる寛容さとも言えますが、海外の人は自分が信仰する宗教だけに関心を持ちますし規律を守る人の方が多い気がします。
聞いたことがあるかもしれませんが、海外では「メリークリスマス」とは言わず「ハッピーホリデー」と表現します。その場にいる人全員がキリスト教徒かが分からないゆえの気遣いです。
イスラム教徒は日に5度のお祈りを捧げます。
私は過去にインドネシアとマレーシアで働いていましたが、どちらの国もイスラム教を信仰している人がとても多いです。
なので、現地の同僚たちのお祈りの時間を絶対に確保しなければならないのですが、工場のラインだったりすると全員が一度にお祈りに行くとラインを止めなくてはなりません。
機械というのは一度止めてから再起動させるのはかなりをロスを生むので、できれば止めたくないものなので工夫を凝らす必要があります。
私がいた時は、イスラム教への敬意を示すとともに機械を止めることのロスを理解してもらい、機械を止めなくてもいいように時間をずらしてお祈りにいくことを了解してもらっていました。
どちらもお互いの立場を尊重した結果の譲り合いです。
ミスへの対応の仕方
国や文化に関わらず誰しもミスというのはできればしたくないと思っています。
そんな時の対応は結構悩みます。
相手に発奮してもらうことを期待してあえて厳しい態度を見せたり、相手の気持ちを慮って遠回しにミスを指摘したりとあれこれ考えるのですが、責められることに怒りを覚える場合や直接的な表現でないとむしろOKなんだと真逆な取られ方をする場合など思った通りの結果が得られないことが多々あります。
謝罪をすると責任を取らなければならないという考えから謝罪をしない場合もあります。ミスをしたんだから謝らなければと考える人が多いであろう日本人が面食らう場面の代表格です。
こんな時は、ミスに気付く、対処する、今後ミスが起きない仕組みが本来必要なことなので、それらに対してまずは行動と対処を行います。
どうにもこうにもならなくなったら担当者を変えてもらうとか、配置転換するとかで対応するほかないです。仕事をこなす以上仕方ないことです、、、
ちなみにミスを指摘したりする時は周囲に人がいないところでというのは、ほとんどの国に通じる文化です。人前で恥を晒すことになるので配慮してあげる気遣いは大事です。
日本の場合はあまり気にしないというか、連帯責任というか、人前で怒ってしまうことも珍しくないので、もしかしたら人前でミスを指摘して上手くいってない可能性もあるので、この辺は忘れずに実行します。
文化や考え方の違いをどう乗り越えるか
大前提として他の国の文化や考え方に面食らった時にはお互いに理解し合う姿勢が何よりも大事になります。
そして、違いがあるのは当然で双方が100%満たされるということはまずないと理解し妥協点を模索するのが基本的な対策方法です。
共通の基準を設ける
人間としての尊厳や価値を一番に尊重した上で、お互いが譲れるポイントはどこにあるのかを探します。
共通の基準を置くことで毎回悩まなくてもお互いの文化の違いに配慮した行動が取れる指針になってくれます。
この時、50 : 50になれば悩むことも少ないのですが、何をもってして50 : 50なのか、業務の内容によってはより譲歩が必要な側が発生することによる悩みが結構発生します。
絶対的にお互いの人間としての尊厳は守った上で、なぜその基準を設けなければいけないのか説明や理解をしていく必要があります。
多分というか、ほぼ間違いなく一度で決まることはないと思います。やってみないと分からないことはあるし、徐々に不満が蓄積されていく場合もあります。
一度基準を決めたら終わりではなく、もっとやりやすい基準はないのかと探し続ける姿勢と常に相手の声に耳を傾け続ける姿勢は必要です。
言うまでもなく文化に優劣はありません。チームとして仕事を効率よくかつ譲り合いに納得できる方法がどれなのかを合理的に見つけることが大事です。
期待しないことは大切
以前に期待することは身勝手という内容を投稿していますが、海外の文化や考え方の違いの溝を埋める為にも重要な考え方です。
関連記事:期待するって身勝手じゃない? 期待しない・されない平穏な生き方
曖昧な表現でこちらの意図を汲み取って欲しい、直接的な表現を避けて誤りを指摘するなどは、ある意味身勝手な期待と同じです。
自分の中では伝わるだろうという期待は、同じ日本人でも誤解の基になる可能性があるのに文化的や宗教的背景が全く異なる海外で通じる理由がありません。
どの表現がより分かりやすいのか、どんな指摘が相手のメンツを潰すことなくできるのかなど、常に最適な方法を自分で探し続けないといけません。
もちろん日本のように婉曲的表現を重要視する文化もありますが、その場合でも日本と同じような表現が通じるかは分かりません。結局、その文化に適した表現を探すことには変わりないです。
かなり大変な作業になるので、ついつい自分の中で伝わってるだろうと考えるに至ってしまうことがありますが、文化の違いを乗り越えるのは相当に努力が必要なことだということの認識と覚悟をしておく方が後々楽です。
共通語を身に付ける
お互いがある程度通じる共通語を身に付けることは必要です。(勉強が大変です。)
意思の疎通が取れなければ文化や考え方の違いの溝を埋める手段がなくなってしまいます。
この時、海外出張だとコミュニケーションを取るべき人は限られ、海外とのやり取りを前提とした人材であるケースが多いので英語で十分なことが多いです。
少しやっかいなのが海外駐在の場合です。
もしも駐在先が英語を母国語としない国でこちらが英語しか話せないのであれば、英語が上手い現地の同僚とそうでない同僚がいる可能性があります。
この場合、英語を上手く使える現地同僚とのコミュニケーションがメインとなり文化や考え方の違いによる溝以外にチームとしての溝を抱える可能性がでてきます。
こちらが駐在先において重要なポジションであるほどコミュニケーションの偏りは歪な組織の原因になってしまうかもしれません。ただでさえ文化や考え方の違いへの対処法を考えなければいけない時にメンドー事が増えてしまいます。
コミュニケーションの偏りを減らす事ができますし、相手の文化を理解しようとする姿勢を見せられることにもなるので、少しずつでも構わないので現地の言葉を学習するようにすると助けになると思います。
関連記事:初めての海外駐在 勢いが大事なとりあえず話せる言語学習
分からないことは聞いてもいい
分からないと思った事は素直に聞くのが一番手っ取り早いです。
文化や考え方が違えばタブーとなる質問も変わる可能性は確かにあります。無闇矢鱈とあれこれ聞いては溝を埋めることが広がってしまうかもしれないですが、相手の文化を尊重、理解しようとする姿勢を示し、その為の合理的な質問であれば特に気にする人はいないです。
っていうか、現地の常識は現地の人に聞く以外の基本的な解決策はないわけで日頃からコミュニケーションを取って、お互いの文化に関してオープンに語り尽くせる環境を構築していないと文化の違いに面食いっぱなしの生活を送ることになります。
分からないことは素直に聞く。その為の日頃からの環境づくりを怠らない。こういった地道な行動から、いわゆる異文化コミュニケーションが始まります。
自分の文化や考えに固執することなく、全く分からないことは分からないって聞いちゃいましょう。
文化の違いを楽しむ
個人的かつ勝手な考えですが、多分日本人は文化の違いを楽しむ素質を持ってます。
- クリスマス
- ハロウィーン
- バレンタインデー
- サンバ
- フラダンス
- 町中華
- 韓国フードとかメイクとか
挙げればキリがないですが、全部日本人は主体的にやっているイベントやお店の数々です。他の国にもありますが元々そのルーツを持っている人たちが行なっていて、現地の人が主体的にやっていることは少ないと思います。
これだけ異文化に順応できる素質を持った国も珍しいと思います。もはや才能と言っても差し支えないんじゃないかと思うレベルなわけで、その才能を発揮しないのは勿体無い。文化の違いに面食らうのではなく、いっそ楽しんでしまうマインドを持つと滞在先の文化の理解は早まるのかなと思います。
せっかく縁あって海外の人たちと共に過ごせる機会を得たわけで、日本の文化に固執するのではなく、理解し受け入れて楽しんでしまう方が得です。
こちらの前向きな姿勢は、日本文化を理解しようとする相手の姿勢にも好影響を与えてくれるんじゃないかと思います。
関連記事:海外出張のトラブルまとめ 本当にあったびっくりな話
まとめ
文化の違いに面食らった時にその溝を一足飛びで埋めてくれる秘策中の秘策ってものはないです。地道なコミュニケーションと相手の文化を理解する姿勢、時には相手の文化に順応する気力と体力が必要です。
文化は無数にあって、その沢山の文化の中で人それぞれが10年20年それ以上と刻み込んできた考え方や習慣、常識を忘れることなんて簡単ではありません。むしろ無理です。
お互いが尊重し合い理解し合いながら柔軟な対応策を見つけることで双方無理なく一緒に仕事ができるのかなと思います。
- 共通の基準を作る
- 身勝手な期待をしない
- 共通の言語を覚える
まずは、こんな感じでお互いの文化を上手く支えるポイントを探してみてはどうでしょうか。
以上、最後までありがとうございます。