昔に比べ年上の部下を持つ人が増えてきているように感じます。
年功序列の文化を持つ日本では年齢を重ねるごとに上級の役職についていくのが通例でした。
しかし、成果主義の導入や転職市場の活発化など以前とは働き方が変わってきていることもあり、年下上司や年上部下の存在が多く見られるようになってきました。
能力に応じた役職につくことは何ら変わったことでもないのですが、日本における年功序列という文化とあわさると結構消耗する状況が発生します。
どちらもプロフェッショナルな仕事をこなすタイプであればビジネスライクな関係を築けるので特に気になることもないと思います。
そうは言っても、世の中そんな人ばかりではないのも事実。なんとなくやりにくさを感じながら悩みを抱えている人がいます。
ということで、今回のテーマは「仕事が回れば大抵の問題はかたがつく」です。
- 年上部下と仕事がやりにくいと感じる理由
- 年上部下との関係を構築して、やりにくさを解消
- 仕事を完遂することが何より大事
こんな感じの内容です。
ちなみに、自分が変えられるのは自分だけということで、年下上司の人がどうするかという内容がメインです。
実際には年上部下の人の態度や気持ちも歩み寄ってくれないと良い関係にはならないので、そんな時には仕事は仕事と割り切るしかないっていうのもオチの一つです。
年上部下との仕事はなんかやりにくい
いきなりな話ですが仕方ないです。
部下とはいえ目上の人なわけで、日本文化で育ち切った私たちの気質には年功序列が刻み込まれています。
当然、相手も年功序列にヒタヒタに漬かっているので組織としての動きをしなければいけないと思いつつも、年上としての意地や期待が心の中で渦巻いています。
暗黙の了解的に年功序列の概念があるだろう、しなければと、仕事以外のことを考えなければいけない状況だと、「仕事やりにくー、、、」と感じるのも無理のない話です。
そんな中、年上部下と年下上司の関係でも仕事にやりにくさを感じることなく仕事を回している人たちもいます。
双方がビジネスライクな関係として仕事は仕事と割り切って業務にあたっていたり、しっかりとしたコミュニケーションから良好な関係を築きお互いの強みを活かし合ったりすることができているからだと考えられます。
つまり、どういうことかっていうと年下上司だけが一生懸命がんばっても仕事のやりにくさは解消されないってことです。
年下上司が年上部下との関係をよりよくしようとする姿勢は必須ですが、年上部下の姿勢も必須です。
この後に年上部下との関係の築き方を書いていきますが、年上部下の協力というか聞く耳というか、そんな感じの相手でないとそもそも仕事のやりにくさは解消されません。あしからず。
年上部下と仕事がやりにくいと感じる理由
年上部下との関係を良好にして仕事のやりにくさを解消する為に、やりにくいと感じる理由を見ていきます。
年上部下との仕事がなんとなくぎこちなかったり、気疲れがすごかったりと仕事がやりにくいと感じるポイントは人それぞれだと思います。
目上には気を使う
部下といっても年上の先輩なので、仕事の指示を出そうにも伝え方はどうするか、この仕事をお願いしてもいいものかなど、いつも以上に思考を働かせることになるので気疲れしてきます。
年上なので相手に対する敬意を示すことは大切です。でも、仕事は仕事と割り切って程よい敬意を示しつつ指示を出すことが大事です。
また、年上部下の人も後輩に対する思いやりの気持ちを持って緊張を和らげる対応をして欲しいなというのが私個人の願いだったりします。
経験値や知識が違うと尻込みする
同じ会社または同業で働いていた年上部下の人は経験値や知識が豊富だったりするので、若い上司の人が自分の経歴と比較して遠慮がちになってしまうことがあります。
経験豊富な人と一緒に仕事ができるわけなので、遠慮してしまうのではなく大きな戦力を持っていると考えて色々な仕事をお願いした方が得だと思います。
それと、自分自身がなぜ上司なのかといえば会社が自分の能力を評価した結果です。経験値や知識は年上部下には勝てませんが、尻込みする必要はないです。
年上ゆえにプライドや過去に固執する
年功序列意識が強めだったり、実は仕事に対する自信が少なめだったりする年上部下の人にありがちなパターンです。
- 年上であるという点だけを頼りにマウンティングを取ってくる
- 過去のやり方にこだわりすぎて指示通りに仕事を進めない
など、年上部下との対話だけでなく他の部下へ影響が及ばないように対応する必要がある為、年下上司の消耗は想像を絶します。
こだわりが強すぎるだけで周囲への影響が大きくない場合は年上部下への対応を優先して構わないですが、周囲にも悪影響が出る場合は他の部下に対するケアを優先することも考えておいた方がいいです。
年上部下の背景を考える
関係を良好にする、コミュニケーションを円滑にするには相手の立場も考えることは大事なことです。
一方通行なコミュニケーションのやり方は円滑とは程遠いですし、これが仕事のやりにくさの原因だったりします。
上司という管理職なので年上とはいえ部下の立場や背景を考えることも必要じゃないかなと思います。
新しい環境に対するギャップ
年上の部下になった背景は色々ですが、今までと環境が変わったという点は共通しています。
転職によって新しい会社に入って部下となったとすれば、年上の部下とかの前に職場環境が変化していますし、中途入社の社員には初めから実績を求められます。
色々と不安になったり空回ったりする材料が揃っていると考えられます。
後輩が昇進したことで年上部下になった場合は、以前の接し方の残像がちらつきます。
新しい体制での接し方に適応できない年上部下は、単純に昔のクセが抜けていないのかもしれませんし、組織上の立場が逆転した現実を受け入れられていないのかもしれません。
変化していく環境に適応できない年上部下の人は、戸惑いやどうしていいか分からないといった悩みを抱えているのかもしれません。
年上という自尊心
客観的に見ればくだらないと思うかもしれませんが、いざ当事者になると捨てきれない人がいます。
人によっては年上なのに部下という立場が周囲にどう見えるかを気になって自分を大きく見せようと考えてしまうこともあります。
人は自分が重要な人であると思われたい欲望がありますし、年上だから年下よりも重要な人と思われたい欲望が殊更強くなる人も中にはいます。
第三者的にはそれってどうなの、、、と思いますが、それぞれがどう思うかは自由ですし、人間自分が一番かわいいものです。そういう人がいるのは仕方のない話なのかもしれません。
根強い年功序列信仰
ズブズブに漬け込まれた年功序列の概念に縛られている人を時たま見ることがあります。
そんな人が年上部下の立場になると随分とストレスを溜めることになりそうです。
それと年上部下の人の年齢によっては、年功序列が優勢だった頃に若手として目上の先輩にこき使われていた可能性があります。
今度は自分の番と思った矢先に年齢は関係ないという社会になり不満を持っている人もいるかもしれません。
理由はどうあれ本人にとっては鬱憤が溜まっている状態なので、どこかのタイミングで発散しだすかもしれません。
そりゃそうだよなと思える理由から内容が分かっても共感できない理由まで様々ですが、年上部下の背景を考えることで年上部下の言動の原因が分かります。
原因が分かれば対処法を見つけやすくできます。
年上部下との関係を構築する方法
関係を構築していく基本となる考え方は敬意を示すことです。
これは先輩後輩関係なく大人としてのマナーだと思います。
この基本の上に先述した年上部下だからこその背景に合わせたコミュニケーションを積み重ねていきます。
細かい過程の指示を出さない
年上部下に対して若い部下と全く同じ指示の出し方だと、年上や経験者としてのプライドに傷がつきます。
欲しい結果は曖昧にせず明確にしなければいけませんが、過程については本人に任せます。
時折世間話を交えつつ仕事の進捗をやんわり確認すれば年上部下との軋轢を抑えることができます。
言い回しをカチカチにしない
敬語は相手に敬意を示す手っ取り早い手段ですが、要求をする時や改善を促す時には冷たい印象を与える可能性があります。
この時に、要求の核となる部分に漢字をイメージする言葉ではなく、カタカナや平仮名をイメージする言葉を使うと表現の固さが和らぐことがあります。
例えば、進捗が遅く作業速度を上げてもらいたいとします。
- 納期が厳しいので、もう少し急ぎたいのですが宜しいでしょうか?
- 納期が厳しいので、ちょっとテンポ上げたいのですがお願いできますか?
実際に声に出して読んだ時に、私は下の表現の方がまろやかに聞こえると思っています。
日本語には沢山の表現があるので、丁寧さを失わず柔らかい表現を工夫すると無意味な衝突を回避できます。
注意は裏で、謝意は表で
年上とかじゃなく誰に対しても大事なことかもしれません。
注意の際ははっきり言うことは言わなければいけないのですが、わざわざ人目につく場所で注意をして無闇に相手の感情に動揺を与える必要はないです。
そして、謝意を伝えるときはあえて人前で伝えて、その人の成果を周囲にアピールします。
相手の感情をコントロールするのも上司の仕事っちゃ仕事ですので。
相談をする
これも年上年下関係なく有効な手段だと思います。
自分を必要とされることに対して、人はポジティブな気持ちを持ちます。
相談することで相手の力を必要としていますと示すことができるので、コミュニケーションを円滑にしてくれる要素になります。
年上部下と接する為に考えることは色々あるかもしれませんが、放っておいても仕事のやりにくさが解消されることはありません。
それに、経験豊富な年上部下と良好な関係を築くことができるとめちゃくちゃ心強い味方を持つことができるかもしれません。
自分にも自分が管理するチームにも得なことだと考えてポジティブに向かっていってもいいんじゃないかと思います。
どうやっても無理な年上部下だったら
年上部下との関係を構築する方法を書きましたが、大事なことがあります。
年上部下が聞く耳、積極的な意思を持っていないと成立しないということです。
最初からでなくとも対話を重ねていく過程で前向きな姿勢が見えてくればいいのですが、全然見えてこないとなると無理なもんは無理です。
仕事がやりやすい環境や円滑なコミュニケーションは自分一人の頑張りだけで作れるものではないです。
残念ですが、仕事は仕事と割り切った対応をせざるを得ません。
- ありとあらゆる仕事を振って、一番マシな業務を与える
- それでもダメなら自分の上長に相談するなどして、しかるべき対応をする
こんな感じで淡々とやるべきことをやっていきます。
放置しておくと他の部下に影響がでてきて、年上部下との仕事がやりにくいとかいう話ではなく、自分の部署全体のパフォーマンスに悪影響が出てしまいます。
年上部下と良好な関係を築くことが年下上司の仕事ではありません。自分の部下を管理して求められている結果を出すことが仕事です。
上司としての責務を淡々とこなしていくことを考えましょう。
まとめ
年上部下との仕事はやりにくいです。でも、解決方法を導き上手く乗り切ることができると自分のマネジメント能力の向上に繋がります。
年下の部下と接するよりもややこしい問題はありますが、前向きに捉えてみては如何でしょうか。
年上部下と仕事がやりにくい時にやることのおさらいです。
- 年上部下の背景や立場を考える
- 相手に敬意を持つことは前提で、相手の背景に合わせた接し方をする
- 仕事のやりにくさ解消は自分一人だけではできないことを知る
- 仕事は仕事と割り切る時も必要
以上、最後までありがとうございます。