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仕事

一人で起業 被保険者報酬月額算定基礎届と月額変更届の書き方

算定基礎届は毎年1回、月額変更届は一定以上の変動が報酬にあった場合に提出が必要な届です。

用語を説明しながら、算定基礎届と月額変更届の書き方をまとめています。

2024年1月現在の情報をもとに書いています。情報の取り扱いには細心の注意を払っていますが、誤りがあり訂正や削除の必要がある場合は調査の上、速やかに対応します。問い合わせ先は下記です。

問い合わせフォーム

実際に作成される際は日本年金機構ウェブサイトなど最新の情報をご確認の上、全てご自身の責任のもとで行ってください。いかなる責任も当ブログは負いません。

日本年金機構 - 定時決定(算定基礎届)

日本年金機構 - 随時改定(月額変更届)

被保険者報酬月額算定基礎届とは

毎年1回、健康保険・厚生年金保険の被保険者と70歳以上被用者の実際の報酬と標準報酬月額とで大きな差がでないように4、5、6月の報酬月額を提出する書類です。

算定基礎届を基に標準報酬月額を見直し9月から翌年8月までの各月に適用されます。(定時決定という)

なお、途中で大幅な給与の変更があった場合は、別に被保険者報酬月額変更届を提出して都度の見直しを行います。(随時改定という)

標準報酬月額とは

引用:全国健康保健協会 - 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)

実際の報酬を基に、健康保険・介護保険を1〜50等級、厚生年金を1〜32等級に区分したものを標準報酬月額と言い、保険料額表とそれぞれの等級を照らし合わせることで各保険料が分かります。

例えば、実際の報酬が309,000円、協会けんぽに加入、会社所在地が東京都の場合は次の通りです。

  • 実際の報酬が309,000円
  • 保険料額表の報酬月額の290,000円以上〜310,000円未満に該当
  • 標準報酬月額は300,000円、健康・介護保険は22等級、厚生年金は19等級

なお、介護保険料、厚生年金保険料は全国一律ですが、健康保険料は会社所在地(または事業所所在地)や保健組合によって変わります。

参考までに、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合の保険料額表は下記から確認できます。

参考:全国健康保険協会 - 都道府県毎の保険料額表

提出期限

算定基礎届は6月中旬頃から順次発送され、7月10日まで(10日が土日の場合は翌営業日)が提出期限です。

提出の対象範囲

7月1日現在のすべての被保険者が対象です。

ただし、次の4つのいずれかに該当する人の届は不要です。

  • 6月1日以降に資格を取得した人
  • 6月30日以前に退職した人
  • 7月改定の月額変更届を提出した人
  • 8月または9月に月額変更届を提出予定である申出をした人

参考:日本年金機構 - 定時決定(算定基礎届)

算定基礎届の書き方

引用:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届(エクセル)

算定基礎届の書き方は次の通りです。

提出者記入欄

事業主の情報を項目に応じて記載します。

被保険者の記入欄

被保険者整理番号健康保険証の上側の「番号」欄に記載された番号を記載する(「記号」欄の右隣)
被保険者氏名以下の様式で被保険者の氏名を記載する
生年月日元号を番号で表記し、「元号-yymmdd」の様式で被保険者の生年月日を記載する
明治1
大正3
昭和5
平成7
令和9
記載例平成5年10月1日
7-051001
適用年月社会保険が適用された月を記載する
従前の標準報酬月額従前の標準報酬月額を記載する
従前改定月従前の標準報酬月額の改定月を記載する
昇(降)給4〜6月の支払いで、昇給または降給があれば、支払月と昇降の該当する方に○を記載する
遡及支払額4〜6月の支払いで、遡及分の支払いがあれば支払月と額を記載する
給与支払月
給与計算の基礎日数
(支払基礎日数)
給与計算の対象となった日数を記載する
(月給・週給の詳細は後述)
通貨によるものの額金銭で支払われた報酬の合計額を記載する
現物によるものの額現物で支払われた報酬の合計額を記載する
合計(⑪+⑫)⑪+⑫の合計額を記載する

総計
平均額
(一定の基礎日数以上の月のみ)
労働条件(労働時間・日数など)ごとの条件に該当する月の⑬の総計と平均額を記載する
一般支払基礎日数が17日以上の月の⑬の総計と平均額を記載する
短時間就労者支払基礎日数が17日以上の月がある場合、17日以上の月のみの総計と平均額を記載する
支払基礎日数が17日未満の月のみの場合、15日以上の月の総計と平均額を記載する
短時間労働者支払基礎日数が11日以上の月の⑬の総計と平均額を記載する
その他労働条件が上記3つが混ざる、通常の報酬より高低差があるなど条件が変わる場合は、算定基礎届の記入・提出ガイドブックを参照
修正平均額⑭⑮に遡及支払額など、所定の要件に該当する金額が含まれる場合、条件を加味した平均額を記載する
個人番号[基礎年金番号]70歳以上被用者の人は記載する
備考該当する項目に○をつける

報酬について

算定基礎届に記載する報酬は基本給や手当などの金銭だけでなく、社宅、食事や定期券など現物支給も含みます。

ただし、臨時で受け取るもの、業務に必要な支給品、本人の負担額が定められた価額により算定した額の2/3以上の食事、年3回以下の賞与は含まれません。

具体例は下記の通りです。

引用:日本年機構 - 算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和5年度)

支払基礎日数について

支払基礎日数とは、支払われた報酬の対象となる日数のことです。

月給・週給の場合は暦通りの日数(1〜末日までの日数)ですが、給与締日と支払日によって同じ月で支払われた報酬でも日数が変わるので注意が必要です。

例えば、「末締め当月支払い」の場合は、4月支払い給与の対象は4月1〜30日なので支払基礎日数は30日です。

「末締め翌月10日」の場合は、4月支払い給与の対象は3月1〜31日なので、支払基礎日数は31日になります。

短時間就労者について

1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、一般の3/4以上である被保険者のことです。

短時間労働者について

1週間の所定労働時間または1ヶ月の所定労働日が、一般の3/4未満であり、かつ下記要件に全て該当する被保険者です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が継続して2ヶ月を超えて見込まれる
  • 賃金の月額が88,000円以上
  • 学生ではない
  • 特定適用事業所または国・地方公共団体に属する事業所に勤めている

参考:日本年金機構 - 算定基礎届の記入・提出ガイドブック

以上で、算定基礎届の作成は完了です。

被保険者報酬月額変更届とは

先述の通り、大幅な昇給や降給があった場合は、次回の定時決定を待たずに月額変更届を提出して標準報酬月額の見直しを行います。(随時改定)

具体的には次の要件に該当すると月額変更届が必要になります。

  • 支払額や支払率が決まっている固定的賃金に変動がある
  • 賃金が変わった月以降引き続き3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上(特定適用事業における短時間労働者は11日以上)
  • 賃金が変わった月から3ヶ月の報酬平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差がある

随時改定が認められると、変更した賃金が支払われた月から数えて4ヶ月目に新たな標準報酬月額が適用され社会保険料が変わります。

参考:日本年金機構 - 随時改定(月額変更届)

固定的賃金の詳細

固定的賃金とは、次のような賃金を指します。

基本給(月給、週給、日給)、家族手当、通勤手当、住宅手当、役付手当、勤務地手当など、支払額や支払率が決まっているものです。

逆に、ならないもの(非固定的賃金)は、残業手当、能率手当、日直手当、休日手当など、状況によって金額が変わるものです。

これら非固定的賃金のみが変動して報酬が変わる場合は随時改定を行いません。

参考:日本年金機構 - 随時改定に該当するとき(報酬額に大幅な変動があったとき)

月額変更届の書き方

引用:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届(エクセル)

書式は算定基礎届に似ていますが、所定要件が違うので所々に違いが見られるので注意が必要です。

月額変更届の書き方は次の通りです。

提出者記入欄

事業主の情報を項目に応じて記載します。

被保険者の記入欄

被保険者整理番号健康保険証の上側の「番号」欄に記載された番号を記載する(「記号」欄の右隣)
被保険者氏名以下の様式で被保険者の氏名を記載する
生年月日元号を番号で表記し、「元号-yymmdd」の様式で被保険者の生年月日を記載する
明治1
大正3
昭和5
平成7
令和9
記載例平成5年10月1日
7-051001
改定年月標準報酬月額が改定される日を記載する
(変更後の賃金を支払った月から4ヶ月目の月)
従前の標準報酬月額現在の標準報酬月額を記載する
従前改定月上記⑤の標準報酬月額が適用された年月を記載する
昇(降)給昇給または降給が開始された支払い月と昇降の該当する方に○を記載する
遡及支払額遡及分の支払いがあれば支払月と額を記載する
給与支払月賃金の変更が開始された支払月から3ヶ月を記載する
給与計算の基礎日数
(支払基礎日数)
給与計算の対象となった日数を記載する
通貨によるものの額金銭で支払われた報酬の合計額を記載する
現物によるものの額現物で支払われた報酬の合計額を記載する
合計(⑪+⑫)⑪+⑫の合計額を記載する
総計3ヶ月分の上記⑬の総計を記載する
平均額上記⑭を3で除して平均額を記載する
(1円未満は切り捨て)
修正平均額⑭⑮に遡及支払額など、所定の要件に該当する金額が含まれる場合、条件を加味した平均額を記載する
個人番号[基礎年金番号]70歳以上被用者の人は記載する
備考該当する項目に○をつける

報酬について

固定的賃金の変動があるかどうかが随時改定の要件ですが、報酬の総計と平均額は残業手当など非固定的賃金も含めた総支給額で計算する点に注意が必要です。

遡及支払額と修正平均額の記載例

昇降給を遡り、月額変更届に該当する3ヶ月以前の月から行う場合、遡及支払額と修正平均額を記載します。

例えば、下記のケースの記載方法は次のようになります。

  • 従前の報酬:300,000円
  • 昇給:40,000円
  • 昇給を遡り1月から行うこととし、2月支払時に1月昇給分もまとめた支払った
支払った報酬内、遡及支払額
1月300,000円
2月380,000円1月分の40,000円
3月340,000円
4月340,000円

実際に昇給分の支払いが開始されたのは2月からなので、月額変更届は2月支払分から記載します。

⑭総計と⑮平均額は額面通りに計算するので下記の金額になります。

38万円 + 34万円 + 34万円 = ⑭総計106万円(⑮平均額353,333円)

しかし、2月は遡及支払分(1月昇給分)も含まれるので、次のように計算して⑯修正平均額を記載します。

{(2月38万円 - 1月分4万円)+ 34万円 +34万円}/ 3 = ⑯修正平均額34万円

参考:日本年金機構 - 算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和5年度)4. 随時改定と月額変更届

これで月額変更届の作成は完了です。

以上、最後までありがとうございます。

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