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仕事

運が良いという理由だけで存続している会社

馴染みの飲食店が店を畳んだ。

店の大家が変わり、新しい大家が相当な賃料値上げを提示してきたことが原因らしいと人伝に聞いた。

同じ建物内にある別の飲食店は弁護士を立てるなどして交渉する構えのようだが、馴染みの店はさっさと退去することを決めたのかもしれないと言っていた。

閉店は晴天の霹靂だった。

大将と奥さんにアルバイトが大体2人。20席くらいある店で、私が知る限りでもそこに店を構えて15年以上なはずだ。いつも7〜8割の席が埋まり週末ともなれば満席になっている。口コミサイトの評価も良い。

近頃の物価高の影響もあり料理の値上げは行われていたが、私が見る限りでは客足に影響があるようには思えなかった。

活気のある店だった。

実際の経営状態など見当もつかない。値上げしたとはいえ十分だったのかはわからない。大将も歳で店を畳むタイミングを伺っていたのかもしれない。

けれども、人伝に聞いただけの真偽のわからない賃料問題が閉店のきっかけになったのだろうと思った。

15年以上も継続するということは容易ではないし、仕事を安定的に作り続けることは難しいことだ。

それほどの経験があれば売上見込みや損益分岐点は感覚的にわかっていただろう。値上げが十分ではなかったかもしれないが、だからと言って赤字になる設定ではなかっただろう。周辺に大学がいくつかあり常に学生のアルバイトが元気よく店内で接客している状態を考えるに人手不足ということもなかっただろう。

もちろんこれは私の勝手な想像だ。ただ、少なくとも傍目からは店を畳む理由が見当たらなかった。

「突然の出来事で状況が一変してしまうことがある」「そういうリスクに備えておくべき」ということは当たり前だと言われればそうなのかもしれない。

だが、身近で起きると残念な思いがあるし、どう表現すれば適切なのかわからないが、一生懸命切り盛りし繁盛していた店でも運という要素に左右されるのかと改めて考えさせられる出来事だった。

運が良かっただけで存続している会社がある。私の会社だ。

10年に満たない時間しか経っていないが、なんとか存続しているのも事実だ。

経営者に高い能力や財力があるわけでもなく、特別な商材やサービスが提供できているわけでもない。勢いだけで起業した何の強みもない会社だ。

冒頭の飲食店のようにひっきりなしに仕事が舞い込むことはないし、評価の良し悪し以前に受けるほどの知名度すらない。ジャンル問わず、できる仕事は何でも請けて細々と稼ぎをあげているにすぎない会社だ。

さっさと潰れる会社に見えると言われても、何ら反論はない。

しかし、なんとか潰れずに済んでいる。

なぜかと聞かれても私にもわからない。運が良かったとしか言いようがない。

仕事を請けられるだけのスキルを身に付けさせてもらった環境や先輩、他にも頼める仕事をあえて依頼してくれる取引先、仕事にありつけるだけの市況、などなど挙げればキリがないが、運良く恵まれた環境に身を置くことができていたというだけの話だ。

本当に感謝しかない。

運だけで存続している会社なので手に入らない物はある。

私の場合で言えば、大きな稼ぎは得られない。

先述の通り、私は高い能力や財力を有していない。そのことは自覚しているので従業員はいないし、事務所を借りていないし、基本的に在庫を必要とする商売には手を出していない。リスクをできるだけ回避している。

能力が低い、リスクは負わないとなれば大きな売上など望むべくもない。

それに、全ての仕事を1人でこなすわけで世間一般の社長像とはかけ離れた泥臭い仕事がメインだ。社会的信用は無いに等しく、私が働けなくなれば売上はゼロになる。

大した稼ぎでもないのにデメリットの方が大きいのかもしれないが、運だけを頼りに起業したのだからこんなもんだと思う。むしろただただ有難い話だ。

懸命に工夫や努力を重ねて規模や売上を伸ばしている会社や店でも完全に運やタイミングという要素を排除することは難しい。

もちろん影響を小さくすることは可能で、ある程度計画した通りの結果に結びつきやすくはなるだろう。それでも、どうしたって厳しい場面に出くわすことはあって、苦渋の選択を迫られることはある。

そんな中で運だけを頼りに今この瞬間だけでも生き延びられているのに、これ以上何を望むというのだろうか。

未来のことはわからない。きっといつかは淘汰される日が来るだろう。

もしも大将が別の場所で新しく店を開くつもりならば、なんとかその日までは生き延びていたいなと思う。

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